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1.ダクタイル管路にも電食は発生するのですか?
   


 一般に電食とは、電気鉄道や防食設備のような人為的な電気設備からの直流電流に起因して発生する腐食のことを言います。電気鉄道は、殆どの場合架空単線式が採用されており、レールを電車電流の帰線として使用しています。その際にレールを流れる電流の一部が漏れ電流として地中に流れ込み、変電所付近で再び流出してレールに帰流することがあります。この時、地中に電流が流れるような埋設金属体があると、電流はこの金属体を通り、流出箇所で電食が発生することになります。

 また、防食設備のような人為的な電気設備では、防食電流を強制的に地中に流しており、これに近接する埋設金属体にその−部が流入することがあります。この場合も電流の流出する地点で電食が発生しますが、−般的には、このような設備は、周辺への影響を十分に配慮して設置されています。
 ダクタイル管路に対する影響については、継手が高い電気抵抗を有しており、漏れ電流の帰路となり難いだけでなく、防食設備等の影響も殆どないと考えています。(ポリエチレンスリーブが被せられている場合は更に電食の影響を受けにくい。)
 その他に、電気防食をしている埋設金属体と絶縁継手を介しているにもかかわらず、金属体の接地抵抗が低いために隣の金属体にジャンピングして電流が流れ込むことで発生するジャンピング腐食や交流電流による腐食がありますが、これまでダクタイル管路で確認された事例は殆どありません。
 電食といっても、さまざまな環境条件があり、状況によってはダクタイル鉄管に電食が発生することもあります。このような場合には、計画時に埋設環境の十分な調査を行い、必要な対策を施すと共に、埋設後の確認も併せて行うべきと考えます。

 

   

2.管の受口の部分は普通塗装ですが、さびる心配はないのですか?
   


管路を流れる水道水の水質によっては、長年経過した後に接触した部分でさびを生じる可能性があります。しかし、管の受口部分のように、水道水が頻繁に入れ替わらない場所では、さびの発生に必要な酸素量が制限されるため、さびの進行も極めて遅くなります。近年では、事業体からの更なる水質向上の要請が高まっていることから、普通塗装下への亜鉛系プライマの下塗りが一部の製品(ダクタイル鋳鉄直管)に適用されたり、エポキシ樹脂粉体塗装管では、受口内面部分まで塗装範囲を拡げるなどにより、品質の向上に努めています。
 
   

3.GX形、S形、NS形のロックリングはダクタイル製ですが、長年使用しているうちに、腐食して強度が弱くならないですか?
   


 ロックリングは常に水道水と接触します。したがって、水質によっては、若干のさびを生じる可能性があります。しかし、管の継手部分のように、水道水が頻繁に入れ替わらない場所では、発錆に必要な酸素量が制限されるため、ロックリングがさびる速度も極めて遅くなります。
 したがって、数10年程度では、強度が低下して継手の離脱防止機能が損なわれることはないと考えられます。
 ロックリングを用いるタイプの耐震管の供用を開始して40年ほど経過していますが、阪神淡路大震災や東日本大震災などでも、ロックリングの強度低下による継手の抜け出しなどは報告されていません。
 
   

4.モルタルライニング管とエポキシ樹脂粉体塗装管の使い分けは?
   
エポキシ樹脂粉体塗装は、昭和40年代の後半に異形管内面用として開発され、その優れた性能から、直管内面にも用いられるようになり、現在ではモルタルライニングと共に広く用いられています。

現在使用されている例から採用理由を判断すると、以下のようになります。
1.安心しておいしく飲める水を安定供給できる管路
2.酸性雨や遊離炭酸を多く含む侵食性の強い水の管路
3.新規住宅団地などの残留塩素やpH対策が必要な配水管路
4.重量が軽いことが要求される水管橋等
5.汚水や汚泥など硫化水素対策の必要な下水管路
このように、モルタルライニング管とエポキシ樹脂粉体塗装管との明確な使用区分は定めていませんが、これらの使い分けについては、技術的な特性のほかに、各事業体の実状や地域の特性なども考え併せて最適な選択をされるのが好ましいと思われます。
   

5.ダクタイル鉄管は何故腐食に強いと言われているのですか?
   
ダクタイル鉄管が腐食に強いと言われている理由としては、以下の事が考えられます。

・国内外とも、過去永年月にわたって使用されている管が多く存在し、腐食しにくい実績があります。
・実験室の数多くの試験データで、通常の炭素鋼よりも腐食しにくいという結果が得られています。
・当協会では、既設管の腐食調査や水道事業体殿との共同埋設実験などを古くから継続的に実施しており、多くのデータが蓄積されている。それらから、特殊な腐食性環境の場合を別に考えると、ダクタイル鉄管は腐食に強い管材であると判断できます。
腐食現象は種々の要因で起こるものであり、腐食に強いという一般的な言い方は、技術的に的確な言い方とは、言えませんが、総合的に判断した結果として言われていると考えます。
   

6.耐震管のボルト・ナットだけが何故ステンレス製なのですか?
   

 ダクタイル鉄管の継手部に用いるボルト・ナットは、極めて特殊な用途の場合を除くと、強度的にはダクタイル製のものでもステンレス製のものでも使用可能です。耐震管は、K形などのメカニカル継手よりも後年に開発され、継手に伸縮および離脱防止という高機能を有しており、ボルト・ナットについてもより高い耐食性を有するステンレス製のものが標準になっています。近年では、耐震管以外の管にも、合金製やステンレス製のボルト・ナットが使用される場合もあり、今後、各事業体の要望に合わせて使い分けられていくものと考えます。

 
   

7.ポリエチレンスリーブに穴が開いても大丈夫ですか?
   


ポリエチレンスリーブによる防食は、以下の面で有効であることが判っています。
・管が周囲の埋設土壌と直接接触することを防ぐ。
・管の周囲の環境を均一化する。
・ポリエチレンスリーブ内へ水が侵入しても停滞し、腐食に必要な溶存酸素の供給を防ぐ。


  従って、現地施工時や他工事などの際に軽微な損傷が生じても、これらの有効性が大きく損なわれることはありません。ただし、損傷の程度が激しい場合や、地下水が多く、入れ替わりが激しい場合などでは、損傷部分を適切な方法で補修する必要があります。
  なお、2002年10月に規格が改訂され、損傷を受けにくいタイプのポリエチレンスリーブに改良されています。

図 スリーブの補修方法

傷口よりも大きい当てスリーブをかぶせ、四方を粘着テープで固定する。

   

8.ポリエチレンスリーブの耐久性はどうですか?
   


 ポリエチレンスリーブの材料であるポリエチレンは、エチレンを重合して製造されます。ポリエチレンは、軽くて、透明性があり、絶縁性もよく、プラスチックの中でも安価です。また、耐水性、耐酸性、耐アルカリ性にも優れています。ただし、熱や光の作用で劣化を起こしやすいため、ポリエチレンスリーブを保管する時には直射日光などを避けるよう注意が必要です。

 地中における耐久性については、これまでに多くの実績があります。
 実績の一例を下表に示しますように、地中に20年間埋設されていたポリエチレンスリーブは掘り上げ後も当時の規格値を満足しており、優れた耐久性を示していました。

表 20年間埋設されていたポリエチレンスリーブの物性値
 
引張強さ(kgf/cm2)
伸び(%)
20年後の測定値
140
460
当時の規格値
(JDPA Z 2005-1975)
100以上
250以上
   

9.ダクタイル鉄管を露出配管する場合には何か特別な防食対策が必要ですか?
   


 ダクタイル鉄管は一般的には地中に埋設されていますが、浄水場、下水処理場などでは地上または管廊内で露出配管されたり、水中配管されることがあります。
 一般に露出配管の場合、管路の美観、内部流体の識別等のために特殊な塗装仕様が用いられています。




 これらの塗装仕様については、JDPA Z 2009−2011(ダクタイル鋳鉄管外面特殊塗装)として規格化されています。その詳細は下表および下図に示します。この規格では、1次塗装に亜鉛系プライマー塗装を行うことで耐久性の向上を図り、2次、3次塗装を工場で塗装し、輸送や布設工事での塗膜の損傷を考慮して施工現場において、さらに現地 塗装を行うことになっています。また、図に示しますように、塗装仕様の選定は、(1)配管の種類→(2)耐侯性の必要性→(3)湿度は高いか→(4)指定色の有無の順に行います。

表1 工場塗装及び現地塗装
種類
工場塗装
現地塗装(参考)
1次塗装
2次塗装
3次塗装
用途
現地塗装
適合塗料
備考
AA a)
亜鉛溶射又は
ジンクリッチ
ペイント b)
管に通常用いる塗料
塗膜の厚さ
0.08mm
-
主として露出配管に用いる。
管に通常用い
る塗料

黒色とし、その他の色は指定できない。

BB
亜鉛溶射又は
ジンクリッチ
ペイント
ただし、JDPA G 1049のGX形管は亜鉛系合金溶射でもよい b)
現地塗装のアクリルNAD系艶有塗料に適した管に通常用いる
塗料
塗膜の厚さ
0.08mm

アクリルNAD系艶有塗料
色の指定ができ、歩道橋や建築関係で通常用いられている。
塗料は市販性がよく、入手しやすい。
CC
エポキシ樹脂
塗料
塗膜の厚さ
0.05mm
エポキシ
M.I..O塗料又は
エポキシ樹脂塗料
塗膜の厚さ
0.05mm
ポリウレタン
樹脂塗料
色の指定ができ、耐候性が要求される場合に使用される。
DD
水中配管及び湿度の高い所の露出配管に用いる
エポキシ樹脂
塗料
色の指定ができ、水中や湿度の高い腐食性環境で使用される。
a) 種類AAには、JDPA G 1049のGX形管には適用しない。
b) 1次塗装の塗布量は、亜鉛溶射又は亜鉛系合金溶射の場合は130g/m2、ジンクリッチペイントの場合150g/m2を基準とし、塗膜厚さは0.02mmとして積算する。なお、亜鉛系合金溶射の場合は、封孔処理を行ってもよい。

 


図 塗装の選定手順
   

10.エポキシ樹脂粉体塗装と液状エポキシ樹脂塗装の違いはありますか?
   


エポキシ樹脂粉体塗料の方が防食性能、品質とも優れていると評価されています。

 エポキシ樹脂粉体塗装に使用されるエポキシ樹脂粉体塗料は、エポキシ樹脂、硬化剤、顔料、添加剤などの成分からなる粉末塗料で、液状エポキシ樹脂塗料のように溶剤を含まず、200℃前後の高温で溶融し、硬化反応を経て塗膜が形成されます。
 常に均一な硬化条件で工場塗装されますので、製品品質のバラツキが少なく、また溶剤に起因するピンホール、臭気等の問題もなく、防食性能の点でも従来の溶剤型塗料に比べて非常に優れていると評価され、数多くの実績があります。
 一方、平成元年にタールエポキシ樹脂塗料に替わる材料として、日本水道協会規格として制定された液状エポキシ樹脂塗料は、エポキシ樹脂、硬化剤、顔料、添加剤、溶剤からなる2液性の溶剤型塗料で、常温硬化反応を経て塗膜が形成されます。
 この塗料は、常温硬化型であるため塗装条件によって、その性能に大きな差異が生じる可能性があり(温度・湿度の差等)、また水道用に使用する場合には残留溶剤による水質への影響も十分留意する必要があります。
 水中での防食性能は、従来のコールタール、アスファルトや各種の合成樹脂塗料に比べ優れていますが、高温で硬化反応を完結するエポキシ樹脂粉体塗料よりも劣ることは否めません。
 また、耐酸性、耐摩耗性等については、エポキシ樹脂粉体塗料の方が優れていることが確認されています。
 なお、エポキシ樹脂粉体塗装は、その塗装方法及び設備の関係から、直管については呼び径1200まで、異形管については呼び径1500までに適用されています。一方、液状エポキシ樹脂塗装は、一般的に呼び径1600以上の異形管に適用されています。
   

11.ステンレス製のボルト・ナットを使用した場合、異種金属の接触によるダクタイル鉄管の腐食の心配はないですか?
   


 ステンレス製ボルトナットの表面積に比べてダクタイル鉄管の表面積は大きいため、異種金属接触腐食は問題のないレベルです。

(1)異種金属接触腐食について

 二つの異なる金属が土壌中や水中などの電解質中で電気的に接すると両者の電位の違いにより、電位の低い方の金属の腐食が促進されます。この現象を異種金属接触腐食といいます。

 この腐食に影響する因子は、両金属の表面積比や電位差、電解質の電気伝導度、温度、pHなどがありますが、金属側の因子で影響の大きいものは、両金属の表面積比です。

   
 

(2)金属の表面積の影響
 一般に、電位の異なる二つの金属を電気的に接触させた場合、電位が低い方の金属の腐食量Pは、電位の低い金属の表面積Aa、電位の高い金属の表面積Ac、電位の低い金属単独時(より電位の高い金属を接触させない場合)の腐食量Poを用いて式(1)で表されます。

      
  ここで、 P:腐食深さ、Po:金属片単独時(より電位の高い金属を接触させない時)の腐食深さ
    Aa:電位の低い金属の表面積、Ac:電位の高い金属の表面積
   

注)H.H.ユーリック:腐食反応とその制御(第3版),P105(産業図書,1989)

   
   ここで、鉄片(Aa)とステンレス片(Ac)の表面積を以下のように変えて式(1)に代入し、表面積の違いによる異種金属接触腐食量を計算すると、下図のようになります。
   
 
  (3)ダクタイル鉄管本体への影響について
 ステンレス製ボルト・ナットを使用した場合、ステンレス製ボルト・ナットの表面積に比べてダクタイル鉄管の表面積は大きいため、それらの表面積比は図の(2)に近いと考えられます。図の(2)に示すように100分の1の表面積をもつステンレス片を電気的に接触させた場合、鉄片の腐食量は、ステンレス片を接触させない鉄片単独時とほぼ同じ(1.01倍)です。したがって、ダクタイル鉄管に表面積の小さいステンレス製ボルト・ナットが接触した場合、ダクタイル鉄管の腐食はそれを接触させない場合とほぼ同等であることから、ダクタイル鉄管の腐食に及ぼすステンレス製ボルト・ナットの影響は少ないものを考えられます。

12.エポキシ樹脂粉体塗装管とモルタルライニング管における残留塩素の消費及びpHの変化に差はありますか?
   


 エポキシ樹脂粉体塗装の方が残留塩素の消費は少なく、pHの上昇も認められません。

 エポキシ樹脂粉体塗装管及びモルタルライニング管に水道水を入れ、残留塩素濃度及びpHの経時変化を調査した結果を下図に示します。
 エポキシ樹脂粉体塗装管の残留塩素減少率は、モルタルライニング管の約半分でした。また、エポキシ樹脂粉体塗装管のpHは、上昇も認められず、ほぼ一定であった。これらの効果は、実管路でも同様の結果が報告されており、エポキシ樹脂粉体塗装管が優れた水質衛生性を有していることが確認されました。

 

13.GX形ダクタイル鉄管はどうして長期耐久性が期待できるのでしょうか?
   


 GX形ダクタイル鉄管の長期耐久性について、管外面、管内面、ゴム輪、ボルト・ナッ トの各項目について説明します。

 1.管外面
 GX形の管外面には外面耐食塗装が施されています。この外面耐食塗装は、「亜鉛系合金溶射+封孔処理+合成樹脂塗装」から構成されており、直管、異形管、P‐Link、G-Link、押輪等に適用しています。
 GX形は、一般的な埋設環境(山地を除く国土の95%)においてポリエチレンスリーブを装着せずに、耐食皮膜の寿命が70年以上、鉄部の寿命が30年以上とし、長期の寿命が期待できるよう防食設計しています(図1‐1参照)。これらは、全国約3000地点での腐食に関する調査データや実験室における促進試験結果を基に推定した結果です。
 推定結果のうち、促進試験結果より求めた各種防食期間を紹介します(表1‐1参照)。「亜鉛溶射皮膜の防食期間」は、腐食性の強い環境(海水環境)では2年以上で、腐食促進試験(複合サイクル試験)では約3日でした。「外面耐食塗装の防食期間」は腐食促進試験で120日以上であることから、亜鉛溶射の35倍以上となり、この結果、腐食性の強い環境での「外面耐食塗装の防食期間」は70年以上となります。
 以上より、外面耐食塗装は一般的な埋設環境(国土95%)において長期の耐久性が期待できるものと推定されます。

 
 
図1-1 GX形の寿命の考え方
   
    表1 - 1 外面耐食塗装および亜鉛溶射皮膜の防食期間
 
 
注1)複合サイクル試験(JlSK 5600‐7‐9サイクルA)
   
   2.管内面
2−1 エポキシ樹脂粉体塗装
 約20年間使用された経年エポキシ樹脂粉体塗装管について、粉体塗膜の性能を調査し、耐久性を評価しました。
@付着強さ、吸水率およびインピーダンスは、新品の値と同等であり、粉体塗膜の劣化兆候は認められませんでした。
A塗膜表面からの塩素浸透深さは20μm以内と塗膜表層のごく浅い部分にしか浸透しておらず、優れた耐久性を有することを確認しました。
 図2−1に示すように、塗膜の厚さは300μm以上と規定されていることから、粉体塗膜は長期の耐久性を有するものと推定されます。
   
 
 
図2-1 経年エポキシ樹脂粉体塗膜の塩素浸透深さ 1)
  〔出典〕 1) 内面エポキシ樹脂粉体塗装ダクタイル鉄管について〔JDPA T47〕(日本ダクタイル鉄管協会)
   
  2−2 モルタルライニング

 直管の内面は、1950年代半ば以降、主としてモルタルライニングが施され、長期間の使用実績があります。
 横浜市水道局では、老朽化したダクタイル鋳鉄管の更新計画を策定する際の耐用年数推定の知見を得るため、管内面のモルタルライニングの中性化について各種試験を行っています 2)。その結果、中性化したモルタルライニングは、管への振動によるクラックや剥離、防食性能に関して、中性化していないものと比べても顕著な差は確認されず、中性化してもすぐに発錆することがないため、管路への影響は少ないと報告しています。また、老朽管の更新計画策定の際に根拠とすべきモルタルライニング管の耐用年数は、モルタルライニングが完全に中性化するまでの期間を考慮して、シールコートありの小口径管では埋設後100年程度が妥当であると提案しています。
 以上のことから、シールコートのあるモルタルライニングが完全に中性化するまでの期間および中性化後も一定の防食機能が期待できることを考慮すると、モルタルライニングは一般的な水質において長期の耐久'性を有すると考えられます。

ただし、モルタルライニングが中性化する期間は、水質条件により大きく異なります。遊離炭酸が多い等、浸食性の強い水質の場合、早い期間でモルタルライニングが中性化する場合があることに留意する必要があります。
  〔出典〕 2) 横浜市水道局:「ダクタイル鋳鉄管のモルタルライニングの中'性化と機能劣化に関する研究」
   
  3.ゴム輪

 一般的にゴムの劣化要因には以下の項目があると言われています。
  @紫外線による劣化
  A酸素による劣化
  Bオゾンによる劣化
  C熱による劣化
 通常、地中埋設されている水道管路では、@〜Cの影響はほとんどないため、ゴムの劣化は極めて緩慢であると考えられます。実際に40〜50年使用されたゴム輪の物性にほとんど変化がなく、水密性も確保されていることを確認しております
(図3−1参照)。
   
 
 
図3-1 長期間使用されたゴム輪の物性(着色部は規格値)
   
   上記@〜Cの影響の他に応力によるゴム輪の永久変形があります。GX形ゴム輪の水密機構はバルブ部(直管)、丸部(異形管)の圧縮により発揮されるため、長期間使用すると圧縮応力によりゴム輪が永久変形します。
 図3−2に実際に約0.5〜30年間使用されたT形ゴム輪の圧縮永久ひずみを示します。実測データから推定した100年後の圧縮永久ひずみは約45%であり、許容圧縮永久ひずみの80%よりも十分に小さい値であるため、長期的に水密性を確保できると考えられます。
 
 
図3-2 T形ゴム輪の圧縮永久ひずみ
   
   GX形ゴム輪の長期耐久性は加熱促進試験により評価しています。加熱促進条件は実際に長期間使用されたT形ゴム輪の圧縮永久ひずみと、加熱促進試験後のT形ゴム輪の圧縮永久ひずみを比較し算定しました。
 GX形ゴム輪を接合伏態で100年相当加熱促進した結果、圧縮永久ひずみは約40%であり、T形と比べて永久変形しにくいことが判りました。また、100年相当加熱促進後のGX形ゴム輪で水密試験を実施しましたが漏水は
なく、長期的に水密性能を保持できることを確認しています。

4.ステンレス鋼製(SUS304)ボルト・ナットの寿命について

 SUS304製ボルト・ナットは主にS形やSU形で使用されはじめ、約20年が経過しました。
 これまでのSUS304製ボルト・ナットの調査事例と、参考としてSUS403製ボルト・ナットの調査事例を以下に示します。
(1)調査事例T3)
 腐食性の強い粘土(最大ANSI評価18.5点、酸性土壌)に、ポリエチレンスリーブを装着せずに6年間埋設しました。酸化皮膜付きダクタイル鋳鉄製は、ボルト先端部やナット角部で腐食が認められました。一方、SUS304製は発錆もなく良好でした(写真4−1参照)。
 
 
写真4-1 埋設実験結果(酸性土壌に6年間埋設)
   
  (2)調査事例U〔参考:SUS403製ボルト・ナットの事例 4)〕
 埋立地において腐食性の強い粘土質の土壌(最大ANSI評価13.5点、海水の影響あり)に、ポリエチレンスリーブを装着していない状態でSUS403製のボルト・ナットを20年間埋設しました。ボルトのネジ切り部や頭部角、ナット
の角部等に、若干の腐食が発生していましたが、大きな腐食は認められませんでした(写真4−2参照)。
 
 
写真4-2 埋設実験結果(埋立地に20年間埋設)
   
  (3)調査事例V 5)
 各種ボルトの耐食性を評価するために、各種試験を100日間行いました。表4‐1に示すように、塩水噴霧試験や3%NaCl浸漬試験では、SUS304製ボルト・ナットの腐食減量はSUS40S製の100分の1〜200分の1程度でした。
 
ボルト
塩水噴霧
3%NaCl
SUS304製
0.026
0.003
SUS403製
2.204
0.663
   以上より、SUS403製ボルト・ナットは埋立地に20年間埋設後も大きな腐食は認められず、また塩水に関する腐食促進試験でもSUS304製ボルト・ナットの腐食減量はSUS403製に比べて極僅かであることから、SUS304製ボルト・ナットは長期の耐久性が期待できるものと推定されます。
  〔出典〕
3)日本ダクタイル鉄管協会:「いわき市水道局殿 外面被覆材及び各種ボルト・ナットの耐食性調査埋設実験
 (6年後調査結果報告書)」、平成12年12月
4)玉瀬充康(大阪市水道局):「ダクタイル鋳鉄管の各種内・外面塗装埋設実験(その4−埋設20年後および
 追加埋設実験10年後の調査結果)」、水道事業研究 第148号、大阪市水道局、平成16年10月
5)喜多川眞好、道浦吉貞:「冷間鍛造ステンレスT頭ボルト・ナット」、栗本技報、pp、25‐31(1993)
   
   

14.GX形ダクタイル鉄管の外面耐食塗装に傷がついても大丈夫なのでしょうか?
   


 小さな傷※がついた場合には、外面i耐食皮膜中の亜鉛合金が傷部を守り、長期の耐久性が期待できます。それより大きな傷がついた場合には、期待する防食性能が得られません。
 なお、小さな傷やそれより大きな傷がついた場合の補修方法については、「GX形ダクタイル鉄管接合要領書」をご参照ください。
※小さな傷:管外表面1m2 当たり15cm2 以内の傷、かつ幅5mm以内の傷

 傷部に対する防食性を確認するため、試験片に鉄地にまで達する傷を付け、複合サイクル試験を行いました。図1に示すように、外面耐食塗装は傷部に対して良好な防食性能を示しています。これは、図2のように、傷がつき、鉄地が露出しても、この部分を守るために矢印のように電流が流れて亜鉛がゆっくりと溶出することにより、傷部に亜鉛化合物が堆積し、保護皮膜を形成するためです。

 
 
図1 複合サイクル試験※結果
 
(.※JIS K 5600-7-9サイクルA:塩水噴霧2h→乾燥4h→湿潤2hのサイクル)
   
 
 
図2 傷部の防食メカニズム

15.モルタルライニングにヘアークラックが発生していても、問題ないのでしょうか?
また、なぜこのようなヘアークラックが発生するのでしょうか?
   


(1)ヘアークラックのひび割れの発生について
 クラックの幅が0.25mm以下であれば問題ありません。
 これは、ダクタイル鋳鉄管のモルタルライニングの規格JIS A 5314:1998では、第4項でモ ルタルのひび割れについて以下のように規定してあります。
「ライニングのひび割れは、目視又はJIS B 7524に規定するすきまゲージなどを用いて検査し、有害なひび割れの有無について全数調べる。この場合、ひび割れの幅は、0.25mm以下でなければならない。
 また、JIS A 5314:1998 (添付資料1)の解説書の第3項に、上記のひび割れ幅について 以下の解説があります。
「一般に、ライニング表面のぺースト層に発生する幅0.1mm程度以下の細かなひび割れは差し支えない。ISO規格では、有害なひび割れについて、管内を輸送する水の水質が硬水の場合は吸水膨潤や石灰析出などによる癒着(self healing)によって防食効果が十分発揮される事から幅0.8mmまでを許容している。一方我が国では、水質が軟質であることや気象条件などから有害なひび割れは幅0.44mmであるが、安全を考慮して許容されるひび割れの幅を0.25mmとした。」

   
 

(2)ヘアークラックが発生する理由について
 直管のモルタルライニングは、管を高速回転させた状態でモルタルを投入し、遠心力をかけて締め固めます。その製造工程は以下のとおりです。

   
 
   モルタルライニングを遠心力施工すると、内表面に薄いセメントペースト層が形成されますが、一般にセメント製品は養生が進むと収縮するため、ペースト層の表面に亀の甲状あるいは樹枝状のひび割れ(ヘアークラック)が発生する場合があります。

16. GX形ダクタイル鉄管を水管橋に使用する場合の外面塗装はどうすれば良いでしょうか?
   

 GX形ダクタイル鉄管は、管外面に「亜鉛系合金溶射+封孔処理+合成樹脂塗料層」で構成された外面耐食塗装が施されており、埋設環境においては、部分的に鉄部が露出してもこの耐食層の自己防食により防食機能を維持することが一つの特長です。ただし、水管橋のような露出配管では外面塗装には耐候性も要求されるため、GX形ダクタイル鉄管を水管橋に用いる場合は、外面耐食塗装ではなくJDPA Z 2009 で規定されている「外面特殊塗装」の種類:CCを施すこととしています。

 

17. GX形の切管端面の防食方法にはどのようなものがありますか?
   

 切管した端面は、以下の3種類のいずれかの方法で必ず防食してください。

GX形管端防食キャップ
GX形端面防食ゴム
ダクタイル鉄管切管鉄部用塗料
適用口径:75〜300
適用口径:75〜250
適用口径:75〜400



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